事例紹介

APASL Oncology 2021、徹底した感染症対策で成功裏に開催

2021年12月17日(金)、18日(土)にプリンスパークタワー東京を会場としてアジア太平洋肝臓学会(APASL)の主催によるAPASL Oncology 2021が徹底した感染症対策を取った上で、ハイブリッド形式で開催され、大成功を収めました。本大会は日本大学消化器肝臓内科学の森山光彦教授(左写真)を大会委員長として、「Your Gateway to Oncology in Asia Pacific Region」をテーマに掲げ、腫瘍学に関する最新の研究発表などが行われました。日本全国から多くの医師や研究者がリアルで参加し、世界各地からのオンライン参加者を含めると参加者は総勢487名に及びました。

大会終了後、大会事務局長の神田達郎先生にお話をお伺いしました。

APASL Oncology 2021を開催する上での最大の課題はどのようなことでしたか。

主な参加者が医師ですので、最大の課題はコロナの感染症対策でした。日本ではちょうどコロナの第5波が終わり、ほとんどの参加者がワクチンを接種していたため、ハイブリッド開催を決断しました。開催が1カ月遅ければオミクロンの影響でオンライン開催にせざるを得なかったと思います。APASL Oncology 2021の開催にあたっては、常にオンライン開催というバックアッププランを持ちながら準備を進めました。
会期中は、感染症対策のため全参加者にHealth Check Sheetに記入してもらい、合わせて検温・消毒を実施した上で入場してもらいました。飲食についてはカップによる飲み物の提供を避け、参加者には弁当とお茶のパックを渡し、互いに距離を取って召し上がっていただきました。

他に学会の運営において考慮したことはありますか。

事務局と主催者で入念に話し合い、コロナ禍で海外招待演者・座長の現地入りが難しいことを想定しプログラムを組みました。世界中から講演者を招へいしましたので、北半球、南半球の時差を考慮し、座長は海外からオンラインで参加する方を必ず含め原則3人体制とし、発表者もオンラインと現地の参加者を取りまぜました。APASLでは、以前からウェビナーをほぼ毎週~毎月頻繁に開催しており、皆様は時差やZoomの使い方、オンラインでのQ&Aに慣れていましたので、この学会でも進行はほぼスムーズでした。

ハイブリッド形式のメリットとデメリットはどのようなことでしょうか。

最大のメリットは、オンラインでの参加のしやすさから、海外や国内の遠方からも多くの方が学会に参加されたことです。ハイブリッド形式の会議は医学界では非常に増えています。Zoom機能のQ&A欄やチャットを活用して、リアルとオンライン参加者間で活発な意見交換ができることも魅力です。
一方、最大のデメリットは、海外からの前述したように参加者との直接対面の交流が叶わなかったことです。国際会議の参加者にとって、各国からの参加者とのネットワーキングは大変貴重な機会ですが、バーチャルな空間でリアルと同様の交流を実現できなかったのは残念でした。特に若手にとっては海外の発表者と直接交流し、新しいネットワークを築く貴重なチャンスとなるところでした。
ただ、今回、現地会場での参加者が予想以上に多かったのは大変嬉しいことでした。おそらく直接会うことを希望した参加者が多かったためだと思います。今後も、リアルに対する需要はなくならないでしょう。


ハイブリッドは高コストになると言われますね。

準備段階では赤字になるのではと心配していました。今回は3会場のパラレルセッションで、聞きたいセッションを選択できましたので、オンライン、リアルとも多くの方にご参加いただけました。充実したプログラムを企画し、ハイブリッド形式にしたことが、成功した秘訣だと思います。また、海外招へい者についてはオンラインで旅費が不要になったため、その分招へい者を増やすことができましたし、森山先生のご尽力のおかげでスポンサーの獲得にも成功しました。東京観光財団からの助成金のサポートも大変助かりました。結果として赤字の心配は杞憂に終わりました。

TCVBのサービスについてご意見をお聞かせください。

学会開催に関する様々なアドバイスはありがたかったです。助成金のサポートのほかに、会場に国際会議専門のボランティアを派遣してもらい、学会運営の補助をしてもらいました。また、東京の魅力をPRするビデオも提供してもらいましたので、オンラインの参加者にも東京に来たいと思わせることができたと思います。オンライン参加者であっても、目的地の魅力を伝えることは重要だと思います。
TCVBには、今後コロナが終息したときに参加者に東京に来てもらえるような支援やPRを是非引き続きお願いしたいと思っておりますし、行っていただけたらありがたいですね。