事例紹介

IUNS-ICN International Congress of Nutrition:コロナ前を超える賑わい

2022126日~11日、東京国際フォーラムにて、22nd IUNS-ICN International Congress of Nutrition(第22回国際栄養学会議)が開催されました。

本会議は国際栄養科学連合(IUNS)が1946年以来4年ごとに開催する権威ある会議です。日本で開催されるのは第10回以来2度目で実に47年ぶりとなります。本来は2021年に開催する予定でしたが、コロナ禍を受けて13か月延期され、2022年にリアル形式(一部オンラインも併用したハイブリッド形式)での開催となりました。東京での待望の会議開催とあって、前回2017年大会を超える112か国、約3,500名の参加者が集結しました。

充実したプログラムと久しぶりの再会に賑わう会場

今回のテーマは「栄養学の力で100億人を笑顔に!」。開会式は秋篠宮妃殿下紀子様や東京都知事ご臨席のもと、華々しい開幕となりました。その後6日間にわたり、世界トップレベルの研究者が一堂に会し、栄養学の最先端の研究について発表と質疑応答が行われ、セッション終了後も随所で活発な討論が繰り広げられました。同時に展示会も開催されましたが、数年ぶりの再会に東京国際フォーラムの会場内は常に参加者で賑わいました。

他にも立川の小学校の学校給食視察、健康的なメニューで有名な、『丸の内タニタ食堂』の訪問などのエデュケーショナルツアー、東京都やTCVBが支援した「発酵セミナー」など、栄養学に関連したプログラムが非常に豊富で、参加者満足度の高い充実した会議内容でした。

★給食2.jpg0330_resize_hiro_078(発酵セミナ).jpg

サステナビリティに関する取り組み

今回は感染症対策及びフードロス削減の観点から、参加者を一か所に集めての昼食の提供をやめ、会議初の試みとしてミールクーポンが提供されました。約3,500人の参加者が利用できるよう、会場内の飲食店や地上広場のキッチンカーのみならず、有楽町から丸の内エリアの地元のレストランがミールクーポン利用に協力しました。この試みは参加者にとってはエリア探索を楽しむきっかけにもなったようです。さらに、この会議ではコーヒーブレイクで飲料の提供はせず、プログラムブックやコングレスバックの配布もしない方針としました。

リアル開催を切望した主催者

コロナ禍で主催者が2021年開催を1年以上延期したのはリアル開催を強く望んだからです。参加者がリアルに交流し、それによって予期せぬ相乗効果が高まること。それが国際会議の大きな意義だと認識しているからこそ、組織委員会が一番苦慮したのは先の見えないコロナの状況でした。2016年から準備を始め、202212月に延期が決まり、20226月に最終的に「リアル」でやると告知した後に、1011日に日本でビザ免除措置停止が解除されたことはリアル開催を推進する上で非常に大きかったそうです。全員ビザが必要なままであれば委員会側には相当な労力と経費が見込まれました。

組織委員会では開催後リアル開催を喜ぶとともに、「栄養学の様々な分野の世界最先端の話を国内外の参加者が聞くことができたこと」、「リアル交流ならではのネットワークや発想の創造・拡大ができたこと」、「栄養学の学生が会議登録者、会議運営スタッフの一員として国際学会にふれたことによる教育的効果」など、リアルならではの具体的な意義、成果を実感したそうです。

誘致及び開催時に活用されたTCVBの各種支援

組織委員会から、誘致の際のTCVBによるビッドペーパー作成の支援は非常に役立ったとのコメントがありました。開催時は、「ハイブリッド型会議に対する開催資金助成制度」によって一部セッションのハイブリッド化が可能になり、無料の都内半日観光ツアーや文化体験によって参加者が東京を楽しめたとのことで、誘致、開催時における財団の支援を評価していただきました。

東京開催の意義

久しぶりに東京でリアル開催される大規模な国際会議だっただけに、主催側も参加する側も、マスクから笑みがこぼれ、会議のテーマ通り「笑顔」があふれる現場となりました。参加者、出展者は「日本という国はとてもよく整っており、人々は高い質を求め努力し、環境はとても清潔で、国や自治体は衛生面にとても厳しい。なので、リアル参加でも安全なまま帰国できると安心していた」「東京に来ることは何の問題もなく、組織委員会とのコミュニケーションに障害はなく、アクセスもよく、ホテルやフードの選択肢がとても多い」と、安心安全なデスティネーションとしての東京の魅力と人々の対応に賞賛の声を寄せました。

会場のアクセスの良さも手伝って、参加者のアフターコンベンションへの意欲は高く、夜に丸の内仲通りや銀座へクリスマスイルミネーションを見に行くだけでなく、公共交通機関をつかって都内観光地へ行ったり、東京駅から日本各地へ足を延ばしたりと、日本文化や食を楽しまれたようです。東京で国際会議を行えば、リアル参加に期待を膨らませる人々は世界中にいると言えるでしょう。

TCVBでは、今後も東京での国際会議開催のメリットと東京の魅力を発信していきます。