事例紹介

APSID-JSIAD 2024:環境等サステナビリティに配慮した会議運営

2024年322日~24日に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターを会場として一般社団法人日本免疫不全・自己炎症学会(JSIAD)の主催による「第7回日本免疫不全・自己炎症学会学術集会・第5回アジア太平洋免疫不全学会学術集会(APSID-JSIAD 2024)」が開催され、大成功を収めました。

本大会は金兼弘和先生(東京医科歯科大学大学院小児地域成育医療学講座・教授)を会頭として、「Beyond the Border」をテーマに掲げ、希少疾患である原発性免疫不全症に関する最新の研究発表などが行われました。アジアの国々を中心に世界各地から多くの医師や研究者が集まり、参加者数は総勢400名強(うち海外約150名)、またオンライン参加も国内外合わせ200名となりました。

今回、一般社団法人日本免疫不全・自己炎症学会としては、初めて国際会議を主催されたとのことですが、東京観光財団が発行している「TOKYO MICEサステナビリティガイドライン(*1)」や「サステナブルMICEサポートデスク(*1)」、「環境配慮型MICE開催資金助成(*2)」も活用頂きながら、環境や多様性などサステナビリティに配慮した運営がなされました。
(*1) https://businesseventstokyo.org/ja/sustainable_business_events_in_tokyo/
(*2) https://businesseventstokyo.org/ja/preparation_support/sustainability.html

その取り組みの一部をご紹介します。

①環境配慮への取り組み

  (1)再生可能エネルギー由来電力を導入している会場の選定
  (2)プログラム・抄録集を電子化し、Web上で配信
  (3)会場施設内デジタルサイネージやスクリーン等の活用(大型看板等の廃棄物削減)
  (4)プラスチック製品の使用を減らす取り組み
    ・会場内にウォーターサーバー設置
    ・ギブアウェイとしてエコマーク認定タンブラーを配布し、紙・プラカップの利用削減
  (5)日本語以外でも理解可能な表示を記載した分別ゴミ箱を設置し、ゴミの分別
    (ゴミ箱は段ボール製を調達)
  (6)フードロスを減らすべく、ランチョンセミナーの事前登録
    (ただし、参加登録が直前に集中したため、昼食を見込み数で発注しなくてはならず、完全なフードロスゼロは実現できなかったとのこと)
  (7)再生材やリサイクル性に配慮したストラップ、ノベルティの採用
    ・再生プラスチック製のストラップ
    ・綿100%無漂白のエコマーク認定製品のコングレスバッグ
  (8)交流会会場は、会議会場から徒歩移動できる会場を選定
  (9)Carbon Footprint Calculator for Business Events in Tokyo(3)を使用したCO2排出量の測定による実態の把握
(*3) https://sustainable-event.metro.tokyo.lg.jp/

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②多様性への対応

  (1)食における取り組み
    ・ランチボックスはベジタリアン・ムスリムフレンドリーのものを全体の1割程度手配し、事前申込制とした     
    ・交流会でもベジタリアン、ムスリムフレンドリーの食事を用意し、テーブルを分けて提供。各料理の前には、食材を記載した案内表示を設置
  (2)宗教的慣習に関する取り組み
    ・イスラム圏からの参加者が多く見込まれたため、祈祷室(Prayer Room)を準備し、日中の祈祷時刻に利用できるよう掲示板で案内。祈祷室内には、簡易的な祈祷用マットとキブラコンパスを設置
  (3)準備作業における取り組み
    ・ギブアウェイのシール貼り作業を就業支援施設へ依頼

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③参加者への周知

環境等サステナビリティに配慮した会議運営の方針や取組内容について、会議ホームページ及び会場内において周知を行い、参加者に協力を呼びかけました。また、会議終了後には、実施報告も会議ホームページ上に公開されました。

今回の試みについて、会議参加者にアンケートを実施したところ、『プログラムや抄録集の印刷版を配布しないことや、代わりとなる閲覧方法についてもう少し分かりやすく案内してほしかった』という声も聞かれ、情報提供の方法については、今後の検討課題と感じられたそうです。一方、多くの参加者からは、『このような取り組みは非常に有意義であり、喜んで協力したい』、『100%の対応は難しいが、国際学会においてサステナビリティへの取り組みは世界標準であり、対応が必要だと感じた』と賛同を得られたとのことです。

東京観光財団では今後も東京でMICE開催を予定している主催者等に向けて、環境等サステナビリティに配慮した取り組みを推進するための各種支援を行うと共に、先進的な取組事例を積極的に発信していきます。